海での遭難は必ずしも嵐など海が荒れたときばかりでなく、波が静かな時でも座礁等の事故は起り得ます。

古来の人々はそのような何かに魅入られたように事故を起こしてしまうのは魔物の仕業と考えました。

 

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セイレーン

静かな夜の海でセイレーンの美しい歌声が聞こえてくると、人々は正気を失い難破するような海域に誘われてしまいます。

また、セイレーンの歌声を聴いた乗組員は魅入られたように海に飛び込んでしまうとも言われます。

ギリシア神話では、顔が人間の女性で、それ以外は鳥の姿をしているとされていますが、

中世以降は上半身は人間の女性で、下半身は魚という人魚のような姿で伝えられるようになってきました。

陸が必ず見える沿岸航海のころは鳥をイメージし、陸が見えない外洋航海の時代になるとセイレーンのイメージも魚に変わっていったのだと言われています。

ギリシャの英雄オデッセウスは怪鳥セイレーンのいる海域を通る際、船が安全に通過できる方法を魔女キルケから伝授されました。

船員には蝋で耳栓をさせるというものでした、しかしオデュッセウス自身は耳栓をせず、自分の体をマストに縛り付けました。

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オデッセウスの船を取り囲むセイレーン

オデッセウスはセイレーンの歌が聞こえてくると我を忘れ、セイレーンのもとへ行こうと暴れ出しましたが、蝋で耳栓をした船員達がオデッセウスを必死で抑えつけ、まだこのあたりは危険であると判断して船をどんどん前へ進めます。

そしてセイレーンの歌が聞こえなくなるとオデッセウスも正気を取り戻し、船員たちもオデュッセウスが落ち着くともう安全であると判断しました。

セイレーンは様々な戯曲や海の伝説を語る小説などに登場するうち、恐ろしい怪物という性格が強まりましたが、

一方で幻想的で魅惑的な水の精として画材となる事も多く、艶めかしい女性の姿で数多くの名画にその姿が描かれています。