彼はオランダ生まれのいかつい男だったが以前ブラジルで暮らしていたことから「ブラジルの岩」と言う意味からブラジリアーノと呼ばれていた。

海賊の隠し財宝の伝説など、世に出回る話の表面だけ見ると「海賊は奪った宝を何処かに隠す」というイメージを受けるが、実際はそんな事をする海賊は稀で、ほとんどの海賊は奪った宝は分配して其々が使い切ってしまう。

海賊たちは財産を貯めると言う意識より、欲しくなったら奪いに行けばいいという意識の方が強かったのだ。

そういった豪快さが海賊の魅力のひとつなのだが、そうでない海賊も居ないわけではない

このブラジリアーノも奪った宝を埋めて隠していた極めて稀な海賊の一人だった。

ただ、このエピソードだけに着目して彼に対し「堅実な海賊」などというイメージを持ってはいけない。

ブラジリアーノはこういった行為から印象を受ける「堅実さ」が特徴ではなく、悪名高い海賊たちの中でも突出した「凶暴性」「残忍さ」こそが実は彼の最大の特徴なのだ。

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ロッシュ・ブラジリアーノ

普段は多くの海賊たちが集まる町ポートロイヤルを拠点にしていたが、こんな荒くれ者の多い町の中でもブラジリアーノの危険さは群を抜いていた。

酔っぱらうとカトラス(洋剣)を振り回し通りすがりの人を斬りつけたり、すれ違う人を片端から殴り倒す事でも有名だった。

このような凶暴性は海の上ではなおさら増幅し、あるとき襲撃したスペイン船の船員がなかなか宝のありかを白状しなかった事に腹をたて、焼き串の上にのせ生きたまま炙って焼き殺してしまった事もあった。

このような、およそ人間とは思えない所業を平気でやってしまう異常性を彼は持っていたのだ。

もう一つの側面として彼は非常に頭も良かった。

優秀な航海士でもあったので何隻ものスペイン財宝船を効率よく襲撃し、掠奪者としては大成功したのだ。

メキシコ軍によって地下牢に閉じ込められた事もあるが、巧妙に偽の脅迫状を作成し脱獄に成功した経験も持っている。

「頭が良くて凶暴」

ブラジリアーノは最もたちの悪いタイプの男だった。

このように狡猾で残忍なブラジリアーノだが、最期は自分自身も悲惨な最期を遂げることになる。

スペイン軍に捕らえられたとき、拷問によって宝の隠し場所を白状させられ、キューバ沖にあるピノス島から自白通り8レアル銀貨10万枚(日本円にして約6億円)が発見された。

彼が海賊としては稀な「蓄財」をしていた事が実証されたのだが、このお金を使う事なくブラジリアーノは絞首刑でこの世を去ったのだった。

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