カリブ海で大暴れした17世紀のバッカニア
通称「皆殺しのモンバール」
当サイトの勝手にランキングのコーナーで紹介している「残虐海賊ベスト3」の3人と極悪非道さに関しては何ら遜色ない海賊だ。


裕福な家に生まれ何不自由なく育ったモンバールは、成長するとフランス海軍に入隊しスペインとの戦争に身を投じることになるが、
ほどなく西インド諸島での戦いで尊敬していた叔父を目の前で殺され、そのときのスペインに対する恨みが後にモンバールを極悪非道の海賊へと変えていくことになる。


1700年代の初頭、モンバールの海賊活動はスペイン船の襲撃はもちろんだが、それ以上にスペイン人の住む集落を襲うこととの方が多かった。
そして略奪だけでは飽き足らず、生き残ったスペイン人に対して残虐な拷問・殺戮を情け容赦なく行い、スペイン人達から大いに恐れられ「皆殺しのモンバール」と呼ばれるようになる。

記録に残る彼の残虐な拷問として、捕虜の腹を切り裂いて大腸を引っ張り出し柱などに釘で打ち付けたり
火のついた丸太などで背中を殴り「死の踊り」をさせた等、常軌を逸した非人間的な行為を平然と行っていた。

danielmontbars
ダニエル・モンバール

 

しかし・・・・

戦争で叔父を亡くしたからと言ってここまでスペイン人全体を恨む理由となるものなのか少し疑問が残りはしないだろうか?
実はモンバールがスペイン人に対して異常なまでの憎しみを抱いていた訳は他にもあったのだ。

それは彼に植えつけられた極端な思想によるものだった。

モンバールはスペインのコンキスタドール(別ページで開きます)たちがアメリカ原住民達に対して行った残虐な行為を告発した書物に強く影響を受けたと言われている。
その書物はコンキスタドール達と同じスペイン人であるバルトロメ・デ・ラス・カサスが書いたもので、
著者のラスカサスはスペイン政府や多くのスペイン国民から「非国民・裏切り者」扱いされるほどスペインにとって都合の悪い核心を衝いた本であった。

実際にアメリカ先住民族が現代では少数民族となってしまっていることを見ても、当時のコンキスタドールたちの虐殺の規模は推測できよう。

コンキスタドールたちの所業をラスカサスの本によって知ったモンバールはその内容に強く影響を受けたらしく

「スペイン人を生かしておいてはいけない!粛清すべきだ」

と過激な思想を持つようになってしまったようだ。

<スペイン人の中にもラスカサスのように自国の過ちを素直に認めたうえで告発し世に問うた人物もいると思い至らなかったのだろうか・・・・>

海賊としていくつものスペイン集落を壊滅させ、また相当数のスペイン船の襲撃によってかなりの富を得たはずだが、モンバールが海賊である目的は他の海賊のように金銀財宝ではなく、スペイン人を虐殺すことだったので、モンバールは奪った財宝は大半をどこかに埋めていたと言われている。


彼の死は1707年と言われているが、はっきりした記録ではない。
正確には解らないが、このころ航海に出発したまま戻らなかったのだ。

スペインとの戦いで死んだならばスペイン側が大々的に吹聴するであろうから、おそらく海難事故と思われる。
そして彼の元乗組員によれば宝物を埋めたのは「セントバーセレミー島」であり、モンバールはこの宝を取りに来ることなく死んだそうだが、その宝は未だ見つかっていないらしい。