メアリーの母親は夫を亡くし、その直後に幼い息子も亡くした。

ほどなく他の男性との間にメアリーを授かったが、元夫の姑女から養育費をせしめる為に息子を亡くした事を隠しメアリーに男の子の格好をさせて少年として育てた。

彼女は、男として育ち、そのまま男として軍艦に乗り込んだが、その集団に馴染めずすぐに脱走し、次は陸軍の士官見習いとなったが、ここでの彼女は非常に優秀な兵士として上官からも絶賛されという。

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メアリー・リード

まもなく一人の兵士に恋をした彼女は、彼に自分が女性である事を悟らせ、恋を実らせることに成功した。

やがて彼女は自分が女性である事を公表し仲間たちを大いに驚かせた。

女性である事をカミングアウトした彼女は除隊し居酒屋を開き、店は繁盛したものの不幸にも夫を亡くしてしまう。

最愛の夫を亡くした彼女は失意のうちに居酒屋の経営をやめ、再び男として戦いに身を投じる決心をし、オランダの歩兵連隊に入隊する。

しかしこの歩兵連隊も彼女の望む地位や金銭は得られそうになく除隊、新世界(アメリカ)を目指しカリブ海に向かう客船に乗り込んだ事で、彼女に大きな転機が訪れる事になる。

その船をジョン・ラカムという海賊が襲撃したのだ。

男装していた彼女は捕虜となるが、当時、海賊の捕虜となった男性の運命は悲惨なもので(海賊にもよるが)

最悪の場合は拷問の後に殺されることだってある。

だが、襲撃して来た海賊がジョン・ラカムだった事はメアリーにとっては不幸中の幸いで、彼は捕虜に対してそういった残虐行為をするような海賊ではなかった。

しかし、白人であってもイスラム圏では奴隷となりうるので、売られてしまう事だって考えられ、けっして気を許せるような状況でもないが、ラカムは捕虜の中で唯一イギリス出身だった彼女を海賊の仲間として迎え入れようと考え、結果メアリーはそれを承諾してラカム配下の海賊となったのだった。

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アンボニー・メアリーリードとその仲間達の宝物分配

この海賊団でメアリーは運命の男(実は女)と出会う。

海賊船の船員の中に妙に気の合う青年がおり、彼は戦闘の腕も相当なものでメアリーとその青年はたちまち親友となった(あくまで男同士として)のだが、ある日、その青年が「自分は女性である」としたうえで、メアリーの事が好きになってしまったと告白して来た。

その女性こそアン・ボニー、船長ジョンラカムの妻であった。

メアリーも驚いたが、自分もこれ以上女性である事をアンに隠す事は不可能と悟りアンに打ち明けた。

アンは酷くがっかりしたが、逆に女性同士として友情は深まり、以後も親友としての付き合いは生涯変わらなかった。

2人は戦いの際はいつも隣で一緒に戦った。

2人ともそれぞれ腕がたつが、一緒にいる事で相乗効果を生みだしラカムの船においてはNO1戦力であった。

アンもメアリーも当初は女性である事を隠していたが、ラカム海賊団の内部においてはある時を境に事実を公表していたようで、そのうえで男装して海賊団の一員として行動していた。

やがてメアリーは船員の一人と結婚するが、そのままラカム海賊団にとどまり海賊活動を続けている。

ラカム海賊団は決して大きな海賊団ではなかったが、非常にすばしっこく追手の追撃をかわし、各国の海軍や私掠船にとってはなかなか捕えられない厄介な相手でもあった。

しかし、そんなラカム海賊団にも最期の時がやってくる。

1720年10月ジャマイカ西岸の港で酒盛りの最中、ジャマイカ総督の命を受けた私掠船が突然襲い掛かって来た。

必死で逃げたが追いつかれ、戦闘になったが大半の男たちは酒に酔っている事もあり、ほとんど戦えず逃げ回るばかりで、次々に投降していった。

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最後まで勇敢に戦ったアンとメアリー

そんな中、しなやかな動きと激しい剣さばきで多勢であるはずの私掠船の戦闘員たちも手に負えないほど激しい抵抗をする2人組がいた。

2人は戦いながら味方が隠れている船倉にまでピストルを撃ち込み「男らしく戦え!!」と叫んでいた。

その2人こそアンボニ―とメアリーリードだったのだ。

激しい抵抗を見せた2人だったが多勢に無勢・・・・

2人とも捕縛されてしまう。

裁判で、彼女達2人には当然「死刑」が宣告されたが、2人とも「妊娠しているので刑の執行を猶予してほしい」と願い出たものだから当局はびっくりする。

最期まで激しく抵抗し、最も手こずらせた2人が、2人とも女性だったのだから驚いて当然だ。

当時は妊婦を殺すと罪の無い赤ん坊まで殺す事になるので、死刑も出産が済むまで猶予されるのが普通であり、彼女らも死刑を猶予された。

しかし、メアリーリードは獄中で出産すること無く熱病にかかり死亡してしまい波乱の人生の幕を閉じたのだった・・・・・。

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アンボニーとメアリーリード