本名はジャン=ダヴィド・ノーだがフランス・ブルターニュ地方にある出身地にちなんでロロノアと呼ばれていた。
「海で絶対に出会いたくない海賊は誰ですか?」と、カリブ海の船乗りたちにアンケートを取ったとしたら
必ずベスト3に入るであろう残忍な海賊だ。

相手がだれであろうと拷問によって問い詰め、もし白状しない場合はその場で舌を引き抜き、剣で八つ裂きにするのがロロノアの習慣だった。
あまりにも残虐な為、さすがに呆れて去って行く者も多かったが、それでもロロノアの周りには多くの海賊たちが常に集まっていたのは、彼らが酒場等でばら撒く強奪品があまりにも豪華で高価なものだったためで、海賊としては極めて優秀だったことは間違いない。
彼は海での略奪にとどまらず、南米北東部沿岸の村々も片っ端から襲い、掠奪、暴行、虐殺など悪事の限りを尽くした。
最も有名な略奪は現ベネズエラ東部の町マラカイボ襲撃だろう。
ここはベネズエラ湾と海峡で繋がったマラカイボ湖畔の町で、スペイン総督によって派遣された行政官も在住する人口3000~4000人の交易が盛んな町だった。
ロロノア一味はこの町を襲撃する為に、8隻の船と700人ほどの手下を従えていた。
頑強と思われたスペインの砦もあっという間に落ち、ロロノア一味は一気にマラカイボの町になだれこんだが、住民たちはすでに森に避難しており町には誰もいなかった。
もちろんそんな事であきらめるロロノアではなく、部下達に命じて森を捜索させたところ女子供を含む20人の住人を発見し、彼らを拷問にかけ財産のありかを聞き出そうとしたが、なかなか上手くいかず、怒ったロロノアは12人の首を刎ねて殺し、残りを捕虜にしてさらに奥にある町ジブラルタルを目指した。 (トラファルガー海戦で有名なイベリア半島のジブラルタルではない)
この町は500人のスペイン人によって守られていたが、ロロノアは瞬く間に全員を殺し、町は降伏する。
そして1カ月にわたりこの町(ジブラルタル)を占拠し略奪と殺戮の限りを尽くした結果ジブラルタルは壊滅した。
悪行の限りを尽くしてきたロロノアにも、とうとう最後のときが来る。

現コロンビアのカルタヘナ地方を襲ったとき、スペイン人の町のみならずインディオの村まで襲ったが、その際インディオ達に反撃をくらい、とうとう捕えられてしまった。
彼はその場で生きたまま八つ裂きにされ、火の中に放り込まれ、二度と戻って来られぬよう灰は撒かれたという。
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